< 時の流れに福音を伝えし者 >

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンジくんが副司令に呼ばれて部屋を出ていった後も、

 私達はミズキさんを加えてお茶会を続けていた。

 

「あ、おいしいですね、この茶菓子。」

 

 ミズキさんが口にしたお菓子の感想を述べる。

 

「ミズキさんもそう思いますよね〜。

 このお菓子もシンジくんが作ったんですよ。」

 

「そうなのですか?

 本当にすごいですね、シンジくんは。」

 

 マイの言葉にミズキさんは相づちを打って答え、

 今はこの二人が話に花を咲かせている。

 

 一方、お母さんとコウジさんはさっきから難しい顔をして黙り込んでいた。

 

「ねえお母さん、さっきからどうしたの?

 シンジくんが出てってからずっと考え込んじゃって。」

 

「ええ、ちょっとね・・・」

 

「シンジくんのこと?」

 

 そう聞くとお母さんは更に難しい顔をする。

 そして変わりにコウジさんが答えた。

 

「ああ。 正確には副司令がシンジを呼び出したということが気になるんだ。」

 

「副司令が? どういう事なんですか?」

 

「そうか・・・クリスちゃんは知らないのか。

 まあ、副司令の噂は基地内でも誰もしたがらないからな。」

 

 何か複雑な事情がありそうな口振りね。

 そしてコウジさんは少しの間を空けて重苦しい表情で話し始めた。

 

「実は副司令のバール少将なんだが、その地位に上がるのにろくでもない方法をしてきたらしいんだ。

 功績のほとんどは本当は有能な部下の物で、

 失敗はすべて部下に責任を取らせて自分は知らん振りをして今の地位についたらしい。」

 

「クリス、シュンおじさんのこと覚えてる?」

 

「うん、たしか数年前に西欧のほうに配属されちゃったんだよね。」

 

「ええ、でも正確には強制的に配属されてしまったのよ。

 バール少将のせいで。」

 

「え!?」

 

 私は驚いて声少し上げる。

 シュンおじさんとはもう何年もあってないけどすごく優しくていい人だった。

 それなのになんで西欧に飛ばされなきゃいけないの?

 

「どうしてそんなことになったの?」

 

「・・・シュンさんがね、バール少将を軍法会議に訴えたのよ。

 いつものように部下に責任を押し付けたバール少将が責任を取るようにってね。」

 

「・・・それで、どうなったの?」

 

「シュンさんが負けたわ。

 昔と言っても既にその時バール少将は准将だったからコネもたくさんあってね。

 いろいろ手回しして証人を全て自分の味方に付けたのよ、バール少将は。」

 

「それ自体が軍法会議物じゃない!!」

 

 私は叫ぶようにしてお母さんに言う。

 マイとミズキさんも何時の間にかこっちの話に聞き入っている。

 

「証拠がないのよ。 証人が皆口裏を合わせちゃったら文句も何も言えないわ。

 それで負けてしまったシュンさんは一階級降格されて西欧に飛ばされてしまったの。

 おそらくバール少将がいる限りこっちに戻ってくることは出来ない。」

 

「そんな前例もあってバール少将のことは誰も文句の一つも言えないんだ。

 知らない土地に飛ばされるのは嫌だしな。」

 

「じゃ、じゃあ今度シンジくんを呼んだのは・・・」

 

 これを聞いたのはミズキさん。

 私もシンジくんのことが心配だけど、

 ミズキさんは顔を真っ青にまでしてしている。

 

「おそらくシンジの功績を自分の物にする気なんだろう。

 多分シンジを自分の直属の部下にするとか・・・」

 

「で、でもシンジくんはネルガルからの出向社員ですよ。

 特別な理由もないのに自分の部下にするなんて・・・」

 

「シンジが了承してしまったら関係ないだろ。

 さっき隊長が言っていたように、バール少将はいろんなコネを持ってるんだ。

 手を回してシンジを脅かす何かを見つけて、それを使って脅迫することも出来る筈だ。」

 

「そんな・・・お母さん何とかならない?

 このままじゃシンジくんが・・・」

 

「何とかなりませんか、クラウリアさん。」

 

「私からもお願いします、隊長。」

 

 私に続いてマイとミズキさんがお母さんに頼み込む。

 

「う〜ん・・・・・・正直バール少将と同じ手を使うようで気が進まないんだけど・・・」

 

 そう言ってお母さんは通信機を取り出して誰かに連絡を取り始めた。

 

「誰に連絡してるの、お母さん?」

 

 そしてお母さんはフフッと笑って・・・

 

「このアフリカ方面軍でバール少将に唯一文句の言える人のところによ。

 ちょうど今この基地に来てたのよね。」

 

 と言って通信機に向かって話し始めた。

 

 唯一バール少将に文句の言える人って・・・

 

 

 

 

 

 

 僕は呼び出されたとおり、副司令室の前に来ていた。

 これまで僕はこの基地の副司令とは会ったことがない。

 副司令と言う単語からはネルフ時代の時の冬月副司令が思い出される。

 と言っても、ほとんど冬月さんとは話すことがなかったから、

 いましゃ、その容姿もなかなか思い出せなかったりするんだけどね・・・

 

「失礼します、副司令。

 イカリ シンジ、出頭しました。」

 

 この基地には僕に対する命令権は誰も持っていないけれど、

 社交辞令で僕は軍風に呼び掛けをした。

 

『入りたまえ。』

 

 その回答を聞くと同時に副司令室の扉のロックがはずれ開いた。

 中に入ると一番奥の机に40前後の男性が座っていた。

 この人がバール少将・・・このアフリカ方面軍の副司令。

 

「始めまして、イカリ シンジ君。

 私が副司令のバール少将だ。」

 

 だけどこの人の雰囲気は予想していたものとは違っていた。

 副司令というのだからもっと威厳のある重圧感のする人だと思っていた。

 でもこの人から最初に感じたのは不快感だった。

 この人が僕を見る視線がまるで物を見るような感じだったからだ。

 

「今回呼んだのは他でもない、

 君のこれまでの功績を称えたくてね、

 一度会って話をしてみたかったのだよ。」

 

 表情には出していないけれど、この視線から内側ではにやにやと嫌らしく笑っているように感じた。

 少なくともこの人は信用出来ない、何かを企んでいる。

 そう僕の勘が告げていた。

 

「ありがとうございます、副司令。

 でもそれもネルガルの出向社員としての仕事ですから、

 当たり前のことをしているだけですよ。」

 

 僕は話を合わせて建前だけで礼を言う。

 多分この人はそんなことを言う為に僕を呼んだ訳じゃない。

 

「そうかね。

 だが君はネルガルの社員のままで不満はないかね?」

 

「・・・そんなことはありません。」

 

 話を変えてきた・・・

 何を言い出すのか?

 

「いやね、君ほどの実力を持っているのに一企業の社員とは。

 連合軍ならば君の力を存分に振るうことが出来るし、

 地位も待遇もこれまで以上の物を与えられると思うのだよ。」

 

「・・・なにが言いたいのですか?」

 

 そこでバール少将は不適に笑って

 

「君を連合軍に迎え入れたいのだよ。

 世界的企業であるネルガルといえども君のような戦力を持つのは不自然だ。

 戦う力は軍が保持するべきなのだと思うのだがね。」

 

 この人は僕をすでに物扱いしていることにすら気づいていない。

 僕=戦力と考えている。

 実に不愉快だ。

 

「失礼ですが副司令。

 僕は戦力を使う為に戦場にいる訳ではありません。

 戦争を終わらせる為に戦場で戦力を使うのです。

 戦いを望んでいる訳ではないのです。

 ネルガルにいることに不満もありません。

 それに僕はあまり軍に好感を持っておりません。

 ですので、この話はなかったことにして下さい。」

 

 僕は即答で丁重な言葉で断る。

 軍に僕を入れようするくらいは大体予想が出来ていた。

 僕の戦力は強欲な軍人達が自分の出世の為に欲しがっている筈だから。

 

「そう早合点することはないよ。

 もう少し考えてから結論を出してくれないか?」

 

「いえ、考えを変えるつもりは「そういえば!!」

 

 僕が再び断ろうとしたとき、バール少将がその言葉を遮った。

 

「君が以前所属していたナデシコだったか?

 どうやらずいぶん連合軍に嫌われているみたいだね。」

 

「・・・・・・」

 

「そのせいか無茶な命令でもナデシコは聞かなければいけない立場にあるみたいだね。

 そうしなければ、あっという間にナデシコは軍の反逆者として敵対されるとか。」

 

 それはムネタケが言っていたことで実際はどうか分からないけど、

 民間用戦艦にそんな扱いがされているのを知られれば困るのは軍の方だ。

 だから一部の極秘の内容にでもなっている筈なのに・・・

 この人はそれを調べ上げたってことか・・・

 

「この基地に配属されてきたのも連合軍の命令なのだろう?

 基本的に君には誰にも命令権を持ってはいない。

 だが君は我々アフリカ方面軍に協力するように言われている筈だ。

 どんな功績を出してくれようとも非協力的ではこの命令に反するのではないのかね?

 もちろん君の命令違反はナデシコの命令違反に繋がることになる。

 この意味が分かるかね?」

 

 僕が命令に従う必要の無いことを強引に非協力的と判断しようってことですか。

 やっぱり脅迫してきましたか・・・

 

 クラウリアさんやミヅキさんみたいな良い軍人がいることも認めるけど、

 地位高い軍人て何でこんな人達ばかりなの?

 

「私は無理に軍に入ってくれとはいわないよ。

 入るかどうかは本人の自由だからね。」

 

 そうニヤリと笑ってバール少将は言う。

 ナデシコはどうなっても知らないが・・・ってことですか。

 

 

 どうする?

 あまり気が進まないけどバルディエルを使うか・・・

 こんな奴でも人を操るなんて嫌な気分だけど、

 このまま放っておくわけにも行かないし・・・

 

 

 そのとき・・・

 

『その話、もう少し詳しく聞かせてもらおうかバール!!』

 

「だ、だれだ!!」

 

 突然聞こえた声に慌てるバール少将。

 そして部屋の扉が開き声の主が現れた。

 

 

 プシュー

 

 

「誰だとはないだろう。

 唯一の上司に向かって。」

 

 入ってきたのは白髪の高齢の割にがっしりとした体格の人が入ってきた。

 その後ろには30代位の男性が控えていた。

 

「ガ、ガトル総司令!!」

 

 司令・・・という事はこの人がこの基地の一番偉い人。

 ガトル司令は僕の方を向き握手するように右手を差し出した。

 

「始めましてイカリ シンジ君。

 ワシがアフリカ方面軍総司令のガトル=コンバットだ。

 後ろにいるのはワシの息子のオランだ。

 いつも義娘と孫娘が世話になっているよ。」

 

 僕は差し出された右手に応えながら・・・

 

「イカリ シンジです。

 もしかしてクラウリアさんとクリスさんのことですか?

 お世話になっているのはこちらのほうですよ。」

 

「ハッハッハッ!!

 そう謙遜することはない。

 君には何度も助けられているようだからな。

 私も一度話してみたいと思っていたのだよ。」

 

 そう気持ち良さような顔で豪快に言う。

 だけどバール少将の方を見直すと、急に厳しい顔付きに変わる。

 

「さっきの話は後で詳しく聞かせてもらう。

 そのような事があるのでは軍の名誉に関わる!!

 即刻処罰を出さねばならん、お前の分も含めてな!!

 良いか、バール!!」

 

「は、はい・・・・・・」

 

 バール少将は悔しそうな顔で体を縮こませている。

 

「部下が迷惑を掛けたね、シンジくん。」

 

「いえ・・・」

 

「ところで、さっき言ったように君と少し話してみたいのだよ。

 よかったら歩きながらでも話せないかね?」

 

「は、はあ・・・」

 

 そう返事をして僕はガトル司令達と共に副司令室を後にした。

 

 

 

 

 

 

「お、おのれ!! ガトルめ!!

 よくも邪魔を〜!!

 何時か必ずその地位を奪ってやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕はガトル司令達と廊下を歩いている。

 

「さっきは本当にすまなかったね。

 バールは自分の部下の功績だけで成り上がった出世した奴で、

 とても副指令を任せられる器ではないのだよ。

 私も奴をあの地位に置いておきたくはなかったのだが、

 なかなか止めさせる機会がつかめなくてな。

 だが今回の件で何とかなるやも知れん、ありがとう。」

 

 そうお礼を言うガトル司令。

 

「いえ、こちらこそ助けてくれてありがとうございます。

 でも、どうしてガトルさん達はあそこにいたんです?」

 

 僕は疑問に思っていたこと聞くと、

 答えたのはガトルさんの隣を歩いていたオランさんだった。

 

「クラウリアから連絡があったんだよ。

 バール副指令が君を呼び出して何かをしようとしているとね。」

 

「そうだったんですか、後でクラウリアさんにお礼を言っておきます。」

 

「クラウリアもクリスも君のことをだいぶ気に入っているみたいだ。

 二人は常に前線に出ていて、私達には手に及ばない時があるからね。

 君の力は実際には見ていないが実績で私達も十分評価しているよ。

 迷惑を掛けるかもしれないが、もしもの時は二人の力になってあげてくれないか?」

 

「はい、もちろんです。」

 

「そうか、ありがとう。」

 

 オランさんは僕の返事に気を良くして笑みを浮かべる。

 

「ところでシンジくん、さっきバールとは話していたことなんだが・・・」

 

 そう、ガトルさんは言い出し難そうに話し始める。

 

「奴の言動には問題だらけなのだが、賛同出来る部分も幾つかある。

 君の力は軍としてはとても魅力的な存在だ。

 君が軍に入りたくない理由はバールとの話で聞いているよ。

 だが、何故君は軍を嫌っているのかね?」

 

「・・・軍は命令には絶対と言うのが常識です。

 僕は命令とかそういう物に縛られたくないんです。

 それにバール副司令のような人間が軍には沢山いますから。

 もちろん軍人の全てがそうだとは思っていません。

 クラウリアさんみたいに信頼出来る人間もいることはわかっていますから。」

 

 ガトルさん達は僕の話を複雑そうな表情で聞いていた。

 二人ほどの階級になると今の僕の話は複雑な気持ちなのだろう。

 自分達と同級の軍人にろくでもないのがいると言われているのだから。

 

「・・・なるほど、君の言うのももっともだ。

 今の連合軍は全てが正義の為に戦っているとはいえない。

 むしろ自分の地位の為に戦おうとしている者のほうが多いだろう。

 そんな軍では嫌われて当然だな。

 だが、そんな軍でも平和を願っている者もいることだけは忘れないでくれ。

 私も平和を願っているつもりだ。」

 

「ええ、ガトルさんなら僕も信用出来ると思います。

 でもやっぱり軍に入ろうとは思いません。

 僕は誰にも縛られず自由でいたいんです。

 そして僕のやるべき事、やりたい事をしていたいんです。」

 

「なるほど、自由か・・・

 たしかに軍に入れば自由などなくなるな。」

 

 それを聞いて納得したと言うようにガトルさんは頷いた。

 

 自由・・・・・・かつてダブリスであるカヲルくんが司ってたもの。

 少しの間だったけど僕はカヲル君の生き方を羨ましく思ったことがあった。

 それは多分彼が自由でいようとしていたからなんだと思う。

 彼は自分の運命と言って死を選んだ。

 死の運命に逆らえないなら自ら死に方を選びたい。

 多分カヲル君はそう思っていたから僕に殺させたんだと思う。

 

 だけど僕は運命なんて物は信じない。

 あの頃の僕はただ周りに流されてばかりいた。

 そして行き着いたのがあの赤い世界。

 それがすべて運命だったなんで僕は認めない!!

 運命なんて人一人の力でいくらでも変えられる、そう信じたい。

 だから僕は逆らう、勝手に決められた運命に。

 

「となるとクリスは家を出る事になるのか。

 わし等の家系は皆が軍属だから仕方あるまい。

 じゃがたった一人の孫娘じゃから寂しくなるな。」

 

「は?」

 

 突然、ガルトさんがわけのわからない事を話し出す。

 

「あの・・・それはどういう意味です?」

 

 僕はなんとなく嫌な予感を感じながら聞いた。

 

「さっき、オランも言っておっただろう。

 クリスが君の事を気に入っていると。」

 

「へ?」

 

「と、父さん!! 私は別にそのような意味で言ったのでは!!」

 

 それを慌てて訂正するオランさん。

 

「お前はそう思っていてもクリスはその気があるみたいだぞ。

 先日、ワシに相談しに来おったしな。」

 

「そ、そんな・・・私には最近会いにすら来ないのに・・・」

 

「まあ、クリスももうそういう年頃だろうからな。

 父親にはなかなか言い難い事だろうし。

 親離れのような物だと思って諦めい。」

 

「ク、クリス〜〜〜!!(涙)」

 

「おお、もう部屋まで来てしまったか。

 やはり話が弾むと時間が短く感じられるな。」

 

 何時の間にか来ていた部屋の扉には総司令室と書かれてあった。

 

「それではシンジくん、今後もクラウリアくんとクリスの事をよろしく頼むよ。

 今の話は、時が来たらおいおい話そう。」

 

「は、はぁ・・・」

 

 そう言ってガルトさんは落ち込んでいるオランさんをつれて部屋に入っていった。

 僕もずっとここに立っているつもりはないので部屋に戻る事にした。

 その直後・・・

 

 

『クリス〜!!! 私はいらない父親なのか〜!!!』

 

 

 部屋のほうからオランさんの叫び声が聞こえた。

 が、あえて無視した。

 何故か、昔の自分に嫌な親近感を覚えたから・・・

 

 

 

 

 

「いい加減に落ち着かんかオラン。

 それでも軍人か、なさけない。

 

 ・・・それにしてもあのシンジという子、本当に少年か?

 見かけはクリスと大差無いが、雰囲気と言葉に今までにない年期を感じた。

 本当に少年と呼べるのだろうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、僕が部屋に向かっている時のことだった。

 

《シンジくん!! 聞こえるか!? シンジくん!!》

 

 僕の頭にアキトさんの声が聞こえてきた。

 

「聞こえてますよアキトさん。

 そんなに慌てて何かあったんですか?」

 

 これはアキトさんに渡しておいた僕の力の欠片によって会話している。

 もしもの時の連絡手段にと思って渡しておいたもの。

 それを使ってきたという事はアキトさんのほうで何かあった筈。

 

《説明している暇がないんだ!!

 すぐにこっちに来る事は出来ないか!?》

 

「出来ますがそれを他に人に見られるわけにはいかないので、

 周囲の確認をしてくれませんか?」

 

《わかった!!》

 

 少しの間を空けると再びアキトさんの声が聞こえた。

 

《悪いが一人知り合いがいるんだ!!

 信用出来る奴だから何とかならないか!?》

 

「わかりました、一刻を争うようなのでしかたありません。

 今すぐそちらに向かいます。」

 

 そして僕も周りを確認して監視カメラを無力化すると、

 ディラックの海を展開してアキトさんの元へと向かった。

 一体何があったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

その三へ続く